特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第4回

私なりのリスペクトを選手たちに捧げた、『羽生結弦は捧げていく』について――

高山真
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 体調は順調に回復に向かっているとはいえ、油断をしているわけではありませんので、基本的にはずっと家にいます。こういうとき、家でできる仕事をしていることのありがたさ、運のよさも身にしみます。気持ちを休めたいときは、本を読んだり映画を見たり音楽を聴いたり、フィギュスケートやテニス、体操競技などのスポーツの名試合を見ている日々です。

 昨夜は、2012年にニースで開催されたフィギュアスケート世界選手権、男子のショートプログラムとフリーを見返していました。2012年、リアルタイムでテレビ観戦していたときは、本当に素晴らしい演技がたくさん見られたことに大興奮していたものです。

 そして昨夜、17歳の羽生結弦の、プログラムにぎっしり詰め込まれた「挑戦」にあらためて感銘を受けていたのです。

 たとえばトリプルアクセル。ショートプログラム(2012 Worlds SP)とフリー(2012 Worlds FS)で、跳ぶ前のトランジションをガラリと変えてきています。ショートプログラムはカウンターから、そしてフリーはイーグル(それも、両足を氷につけた状態で左右の足の位置、体重をかけるバランスを変えていき、イーグルに入る……という野心的な入り方)から、トリプルアクセルを跳んでいます。

「ああ、羽生結弦というスケーターは、17歳の時点で、『彼自身にとっての理想のトリプルアクセル』を、とんでもなく高いところに設定していたのだな」

 見るたびにそう感じていますが、昨夜あらためて、心打たれたのです。

 この高い目標設定をひとつひとつ超えてきた結果が、現在の羽生結弦なんだ、と。

「本当に、見るたびに何かを語りたくなる選手だなあ」

 と感じ入ったのです。

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特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく

『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。

関連書籍

羽生結弦は捧げていく

プロフィール

高山真

エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。

 
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