特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第5回

四大陸選手権から、8年前の、そして現在の羽生結弦を思う

高山真
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 私がここ数日、特に見返している回数が多い、羽生結弦の2011年四大陸選手権。フリー(2011 4CC FS)で私が特に心を惹かれた箇所については、拙著『羽生結弦は助走をしない』のほうで詳述していますので、この連載ではショートプログラム(2011 4CC SP)における「私のツボ」を書かせてください。

 曲はチャイコフスキーの『白鳥の湖』を、バイオリニストの川井郁子氏がアレンジ・演奏した『ホワイト・レジェンド』。この曲は、東日本大震災以降、羽生結弦にとって被災地への想いを表現するエキシビションのプログラムとしても、忘れることはできません。

 では、要素の実施順に綴っていきたいと思います。

 

  • 冒頭、左足の片足滑走でジャッジ席のほうへと滑ってくる場面。白鳥の翼を表現しているのであろう、アームの動きに目を奪われる。肩の付け根から指先までの、しなやかで、しかしピシッと芯が入っていることを感じる動き。当時16歳という事実に驚いてしまうほど洗練されています。
  • そこから両足ともフォアエッジの滑走に。そして、右足を氷につけた状態のままバックエッジへと切り替え、イーグルへ。

 何度か書いていることですが、私はこの、

「足を氷につけたまま、エッジにかける体重のバランスを変えることで、いつの間にかイーグルやイナバウアーへ入っていく。あるいは『イーグルからイナバウアーへ』という感じでムーヴズ・イン・ザ・フィールドのポジションを変えていく」

 という動きが本当に好きなのです。

  • トリプルアクセルの高さや幅はもちろん、着氷後の流れの大きさ、着氷後にスッとスピードが上がるのも素晴らしい。

 着氷時、ほんの一瞬だけ広げたアームに力を入れてバランスを取りましたが、すぐに柔らかな、いい意味で力感のない動きへ。

 この瞬時の修正能力、熟練性の高さも、年齢を考えれば驚くべきことだと思います。

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特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく

『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。

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プロフィール

高山真

エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。

 
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四大陸選手権から、8年前の、そして現在の羽生結弦を思う

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