ウーマンラッシュアワー村本の「考える人」 Round2-4

「いかに生きるか」は「いかに死ぬか」。安楽死を考える

幡野広志×村本大輔
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村本:幡野さんが何か今一番伝えたいものってあるんですか。

幡野:日本で安楽死をできるように動こうと思ってるんです。今、日本ではできないんですけど、僕は安楽死は必要だと思います。ただ、安楽死については批判する方も少なくないので、いかに味方を増やして動いていくかを、この1年間ずっと考えていました。

村本:日本では安楽死はできない?

幡野:殺人になっちゃいますね。海外は認めている国もある、例えばスイスとかね。僕はもうスイスで安楽死を行う会の会員になっているので、やろうと思ったら別に明日でもスイスで安楽死できます。

©Hiroshi Hatano

村本:日本で安楽死ができない背景には何があるんですか?

幡野:簡単に言えば、日本では「死ぬことが悪いこと」で「生きることが良いこと」になってるからだと思います。生きることは確かに権利としてあるんだけど、それを義務というか「絶対生きなければならない」と思っている人がけっこう多い。生きることも死ぬことも権利なんだけど、その権利と義務をごっちゃにしてる人が、今の社会にも医療関係者の中にも多いから、死なせない方向になっていて、たとえ患者が望まなくても、延命治療をさせ続けることにも繋がっているんだと思いますね。

村本:じゃぁ、がんになった人が自殺するのはどう思いますか?

幡野:正直、僕も自分がんになって、自殺を考えたことはありますね。散弾銃があったから、それで胸を撃ち抜いて死のうかと思った。

村本:それって子どもができる前ですか?

幡野:もう子どもはいましたけど、本当に自殺とか考えだすと、妻とか子どもとか関係ないの。そんなことどうでも良くて、自分が苦しいから、そこから逃げたくなっちゃう。でも、そういうときに「死んじゃダメだよ」って言葉は本人を苦しめるだけなんですよ。

実際、僕もそういう声を、たくさんかけられました。「死んじゃダメだよ」「生きなきゃ」……って、それは確かに正論です。でも「死にたい」と思ったときに「死んじゃダメ」って言われるのは、言われた側にとって「ただの否定」なんです。すでに死にたいギリギリのところまで行ってる人が、そこでさらにまわりから自分の考えを否定されるんですよ。だったら「死にたいときは、いつ死んでもいいんだよ」ぐらいのことを言われた方が遥かに楽なこともある。

本当に死にたいと思っている人間には「いつでも死んでいいんだよ」って選択を与えてあげないと、そういう選択肢まで他人に奪われてしまったら、もうどうしたらいいんですか。絶望だけ抱えて……。

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 Round2-3
ウーマンラッシュアワー村本の「考える人」

お笑い芸人・ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏が、毎回、有名・無名のゲストを迎えて、政治・経済、思想・哲学、愛、人生の怒り・悲しみ・幸せ・悩み…いろいろなことを「なんでそんなことになってるの?」「変えるためにはどうしたらいいの?」とひたすら考えまくる連載。

プロフィール

幡野広志×村本大輔

幡野広志

1983年、東京生まれ。2004年、日本写真芸術専門学校中退。2010年から広告写真家・高崎勉氏に師事、「海上遺跡」で「Nikon Juna21」受賞。2011年、独立し結婚する。2012年、エプソンフォトグランプリ入賞。2016年に長男が誕生。2017年多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。著書『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)。作品集『写真集』(ほぼ日)。

村本大輔

1980年、福井県おおい町生まれ。小浜水産高校中退後、NSC入学、2000年デビュー。2008年に中川パラダイスとウーマンラッシュアワーを結成。2013年、THE MANZAI 優勝。昨年末のTHE MANZAI で、原発・沖縄・東京オリンピック・熊本地震などをテーマにしたネタが話題になり、以後、災害被災地や沖縄をはじめ全国で独演会を開催。今年のTHE MANZAIでも政治ネタを取り上げ注目を集めた。

 

 
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