プラスインタビュー

異例のヒット続出! なぜ東海テレビのドキュメンタリー映画は、何度も観たくなってしまうのか?

東海テレビ・プロデューサー 阿武野勝彦氏インタビュー
阿武野勝彦

 ドキュメンタリーだけやっていると、「やらなきゃならないから、やっている」みたいに義務感が先に立っちゃう恐れもありますし、ね。「誰がやってもいいし、やらなきゃやらないで済んじゃう」、そういう状態の中で、「それでもやりたい!」と手を挙げる人間が必ずいる、と同僚を信じています」 

──報道を日々やっているからネタもどんどん入ってきて、「これはニュースだけではなく、もっと堀り下げて、時間をかけてやりたい」というものが出てくる?

「ええ。やっぱり現場に足を運んで人と会っていないと、ダメになりますよね。今の人はたとえば「ネットでネタを探そう」なんて考え始めちゃいます。まるで、パソコンが万能の箱みたいに……。僕には「そんなネタは、いやだよ」というのがありますね。でもニュースで日常的に外に出ていたり、現場で人と会ったりして経験を積んでいると、ほかの人が疑問を持たないところにすごく深く疑問を持ったりするようなディレクターが、ポンと出てくる。

『ヤクザと憲法』(監督・圡方宏史/2016年公開)

 たとえば『ヤクザと憲法』は、『さよならテレビ』と同じく圡方宏史君がディレクターをしたんですけど、愛知県警の記者クラブを回っている時に、「やくざって絶滅危惧のような状態……。」と思い始めて、「やくざの取材をしたい」と企画を持ってきたんです。取材スタートまで、そして、放送、映画化まで紆余曲折ありましたが、そういう風に、自分に中に取材したい、表現したいという思いの強いものは、出来上がってみると、やはりいい作品になってますね」

DVD化はしない。映画館で他の人の息遣いを感じながら見てほしいから

──「東海テレビのドキュメンタリーを見たいから、DVD化してほしい」という声もあると思うんですが、DVD化はしないんですね?

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プロフィール

阿武野勝彦

東海テレビ放送ゼネラルプロデューサー。1959年静岡県生まれ。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻進学。1981年東海テレビ放送にアナウンサーとして入社。89年記者に異動。98年営業に異動。2002年報道制作局部長に。日本記者クラブ賞(09年)、芸術選奨文部科学大臣賞(12年)などを受賞。

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