昼のホワイトハウス前は、夜の光景とはうって変わってにぎやかで、ほほえましいものだった。
#BlackLivesMatter pic.twitter.com/OQg6977n5r
— Muriel Bowser (@MurielBowser) June 5, 2020
ホワイトハウスへ繋がる正面の路面には大きく、blacklivesmatterとペイントされており、交差点の名称も正式にブラック・ライブズ・マター・プラザと改められた。これはD.C.のバウザー市長の権限によるものだ。
「米国では平和な集会を開き、政府に抗議し、変革を求めることができる」
この若き黒人女性市長の言葉は、多くの市民に肯定感を与えた(ワシントンD.C.は人口比率で黒人・アフリカ系が50%を占め、なんと白人は38%という珍しい地域でもある)。さらにはバウザー市長は連邦軍の市内からの撤退を国防総省に対して求め、1000人以上の米兵を市内から撤退させることに成功した。これに対しトランプはTwitter上で「バウザーは無能だ」と罵り、FBI、ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)、DEA(麻薬取締局)、刑務所局、国境警備局、移民関税執行局などの軍以外の組織をD.C.に数千人動員したと言われている。
日本の国会前に大きく「ヘイトスピーチは違法です」と書かれたようなものだと例えると、その凄みは伝わるだろうか? ホワイトハウスへの道のりは多くの市民があふれ、音楽が鳴り、露店が出て、次から次に人々が集まってくる。BLMのロゴの入ったTシャツやマスク、飲食の露店もある。手にアルコールを吹きかけてくれるボランティアまでいる。まるで浅草の雷門から仲見世通りかのごとくにぎわっていた。
そこに来てセルフィーを撮りInstagramにアップするだけでプロテストになる。プロテストの概念も自分の中で大きくアップデートされた。マーチ(行進)、オキュパイ(占拠)、レノンウォール(メッセージを貼りまくった壁)など数々の表現、アート、演説、ペインティング、踊りや歌。それらのコミュニケーションの総称がプロテストなのだと気づかされる。
そしてここに集うことで人々はエンパワーメントされていく。自分は独りではない、国家という圧倒的な権力に抗議をすることは奇妙なことではない。当然の権利なのだ。それを確かめ合うことでまた、それぞれ個人たちが洗練されていく。自由にやっていいのだ、自分らしく、自分に向いたことをやればいいのだ。前向きなバイブレーションが人々をつき動かしていた。ここは勇気の湧く源泉のようだった。
音楽にノッて踊っている人々にカメラを向けると皆、笑顔でポーズを切ってくる。そしてたいていの女性が言うのだ。「インスタやってる? あとで送って」と。高校の同級生にでも話しかけるようなあの気軽さで。
そこで初めて日本国籍の記者の女性と出会った。いわゆる日本人と出会うのはこのアメリカ取材で実は、後にも先にもこの方だけなのだが、この人が沖縄出身のウチナーンチュであることにまた不思議な縁を感じた。
ホワイトハウス前の昨日の様子。
いわゆる #blacklivesmatter と路面に大きくペイントされた、あの通りのTのところ。
多様な音楽があふれていた。
初対面の人たちがこんなに一緒に踊れるの!?
「踊り」という原初的なプロテストについて。
沖縄を想い出す。緊急USレポート❽https://t.co/4eWfDhKosF pic.twitter.com/0cAqYJFYGq
— 大袈裟太郎/猪股東吾ᵒᵒᵍᵉˢᵃᵗᵃʳᵒ (@oogesatarou) June 13, 2020
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