◆キーガン・メッシング(ショート14位)
平昌オリンピックの男子を幸運にも現地で観戦することができたのですが、ショートプログラムの前半のグループで、同じ組の他の選手と明らかにスケーティングのスピード、歯切れのよさが違う選手がいました。その選手が、平昌で私が最初に目を奪われたスケーター、キーガン・メッシングでした。
今回も「エッジを切り替えた直後、上半身の勢いや足の振り上げではなく、体幹をキュッと引き締めるようなミニマムな力の入れ方でスピードをあげていく」という見事なスケーティングを堪能しました。
ジャンプのミスは惜しいですが、「このスケーティングがあるのなら、極めて近い将来、表彰台候補の常連になりうる」と思うほど期待をしています。実際、スケートカナダのショートプログラム(Keegan Messing 2018 Skate Canada SP)は素晴らしい出来でしたし……。
母国の英雄パトリック・チャンのように、ジャンプが安定してきたらキーガン・メッシングは世界の中心選手になるはず。その時が来るのがますます待ち遠しくなった演技でした。
※ヴィンセント・ジョウやミハイル・コリヤダについては、フリー編でたっぷり語りたいと思っています。
(フリー編は来週アップ予定です)
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『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。
プロフィール
エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。