あなたを病気にする「常識」 第3回

カロリーだけを気にしていても痩せられない理由

津川友介
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大豆やブルーベリーを食べている人ほどやせていた

 2つ目の研究は、同じ研究チームで、米国人約13万人を追跡し、果物と野菜の種類によって体重がどう変わってくるかを評価した研究だ。先ほどの研究では食事全体を評価していたのに対して、こちらは野菜と果物に絞り、より詳しく解析を行ったのである。その結果は、果物や野菜の種類によって体重への影響は異なる可能性が示唆されるものであった。

出典・Monica L. Bertoia et al.(2015)を元に筆者作成

 

 じゃがいも、とうもろこし、えんどう豆のように、デンプン質の多い野菜の摂取量が増えている人は、太る傾向にあることが分かった。野菜の中でも、特に食物繊維が多く、「グリセミック負荷(GL)」が低いものはやせる傾向があることが明らかになった。

 食後の血糖値の上昇しやすさを示す指標をGI値といい、これが高い食品ほど太りやすいとされてきた。GI値は、食品の炭水化物50グラムを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖を100とした場合の相対値で表す。だが、この「炭水化物50グラムを摂取した際」というのがくせものであることが分かってきた。例えばスイカのGI値は高いのだが、スイカには100グラムあたり8グラムくらいしか炭水化物が含まれていない。つまり、炭水化物50グラムを摂取しようとしたら、スイカを625グラムも食べなくてはいけない。スイカのGI値は高いが、炭水化物の含有量が少ないため、さほど問題視する必要はないのである。一方で、炭水化物の含有量が多い食品であれば、例え同じGI値であっても、もっと少ない量で血糖値を上昇させる。

 この問題を解決するために開発されたのがGL値である。GL値は、このGI値に、対象の食品に含まれる炭水化物の割合を掛け合わせた指標で、最近ではGI値よりも適切な指標であると考えられている。

 具体的にやせていた人が多く食べていた果物は、ブルーベリー、プルーン、りんご、なし、いちご等であった。野菜に関しては、大豆、カリフラワー、ズッキーニ、サヤインゲン、ピーマン、ブロッコリーなどを食べていた。詳しくは上記の図を参照してほしい。

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あなたを病気にする「常識」

テレビ、本、ネット……健康についての情報に触れない日はない。 だが、あなたが接している健康の「常識」は、本当に正しいものなのだろうか? 確かな科学的根拠に基づいて、誤った常識を塗り替える医療エッセイ。

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プロフィール

津川友介

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授。

東北大学医学部卒、ハーバード大学で修士号(MPH)・博士号(PhD)を取得。
聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード大学勤務を経て、2017年から現職。
著書に『週刊ダイヤモンド』2017年「ベスト経済書」第1位に選ばれた『「原因と結果」の経済学』(中室牧子氏と共著、ダイヤモンド社)、『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)がある。
ブログ「医療政策学×医療経済学

 
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