著者インタビュー

現代もなお生きている「縄文の思想」【前編】

『縄文の思想』著者・瀬川拓郎先生インタビュー

瀬川拓郎
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2015年に「第3回古代歴史文化賞」で大賞を受賞した『アイヌ学入門』(講談社現代新書)をはじめ、『アイヌと縄文:もうひとつの日本の歴史』(ちくま新書)や『アイヌの歴史 海と宝のノマド』(講談社選書メチエ)など、縄文時代における遠隔地同士のダイナミックな交流や、「海洋」を舞台にした古代人の広範なネットワークを見出した書籍を発表し、注目を集めている瀬川拓郎・札幌大学教授。

その研究の原点はどこにあるのか。そして、最新刊である『縄文の思想』(講談社現代新書)に籠められた想いとは?

話題の考古学者に迫るインタビューを前・後編でお届けしたい。

 

——まずは経歴からお伺いします。現在のご専門である考古学に興味を持たれたのは、いつ頃なのでしょうか。

瀬川:私は出身が札幌なのですが、高校1年生の時に母校で「郷土研究部」というクラブに入ったのが最初でした。当時の郷土研究部というのは発掘を盛んに行っていて、ほとんど考古学クラブのようになっていました。現在は廃部になってしまっているようで、残念です。

もともと、よく地面に座り込んで、道路や庭に敷いてある石をじっと見たり鉱物を集めたりするのが好きな子どもだったので、今から考えれば合っていたのかもしれません。結果的に、その経験がきっかけになったと思います。

地面を掘っていて、モノが出て来る。宝探し的な面白さっていうのが基本にある上に、それが何千年前の人間のものだという感動。それを自分が掘り当てたら、初めてそこで対面するわけですよね。その時のワクワク感にハマっちゃっていたんですよね。

——高校を卒業するころには、もう考古学を志されていたのですね。

瀬川:そうですね。クラブの卒業生が、割とたくさん考古学の研究者になっていたんです。その中の1人で、札幌大学に石附喜三男(いしずききみお)先生という方がおられました。そのイシヅキ先生の研究室を、皆で土曜日の午後なんかに訪問してお話をしたり。夏は発掘に連れて行ってもらったりしていたんですね。

それで、考古学の勉強って面白いな、将来勉強してみたいなと思って、石附先生にも相談していました。それから、部室に並んでいた土器だとか色々なものを見ながら、必死にレポートを書いた記憶もあります。石附先生に見せたらメチャメチャに言われてしまいましたが(笑)。

だから、当時から考古学の道に進みたいという気持ちはあったんだと思います。

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プロフィール

瀬川拓郎

1958年生まれ。北海道札幌市出身。考古学者・アイヌ研究者。岡山大学法文学部史学科卒業。2006年、「擦文文化からアイヌ文化における交易適応の研究」で総合研究大学院大学より博士(文学)を取得。旭川市博物館館長を経て、2018年4月より札幌大学教授。主な著書に、第3回古代歴史文化賞を受賞した『アイヌ学入門』(講談社現代新書)をはじめ、『アイヌの歴史』『アイヌの世界』(ともに講談社選書メチエ)、『アイヌと縄文』(ちくま新書)など。

 
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