シングルマザー、その後 第4回

”セックスワーカー”という選択

黒川祥子
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「母子家庭」という言葉に、あなたはどんなイメージを持つだろうか。「女手ひとつで大変そう」「お母さんが働いているあいだ、子どもはどうするの?」「家族観も多様化しているのだから、立派な生き方だと思う」……。

古典的なものも、あるいは比較的おおらかな考え方も、イメージは様々だろう。しかしながら、シングルマザーが子育てを終えたあとのことにまで思いを致す読者は必ずしも多くないのではないか。

本連載では、シングルマザーを経験した女性たちがたどった様々な道程を、ノンフィクションライターの黒川祥子が紹介する。彼女たちの姿から見えてくる、この国の姿とは。

プラナ / PIXTA(ピクスタ)

 

 ほっそりとした、美しい女性だった。大野真希さん(仮名)、40歳。今回の取材を始めるにあたり、サイトでシングルマザーの方へ話を聞かせてと呼びかけたところ、連絡をくれた唯一の女性だった。その意味で真希さんは、自ら志願して、私に自分の「これまで」を伝えようと決めた女性でもあった。

 真希さんは現在、高校2年生の息子と二人で暮らしている。シングルマザー歴が「大体、16年ぐらい」と言うのだから、結婚期間が非常に短かったことがわかる。

 真希さんは両親と姉との4人家族で育ち、実家は工務店を営んでいた。短大の英文科を卒業後、就職することなく、キャバクラなどでのバイト生活を選んだ。

「就職氷河期だったから、面接で結構、落とされて……。もともとガッツもないし、必死に就活することもなく、バイトでいいかなって。バカだったんです。お金が入れば遊びに行ったり、洋服買ったり……。結婚して、専業主婦をやればいいって思ってました」

 真希さんは何度も、「バカだった」と繰り返す。社会がこれほど不況になるとは、思いもしなかったと。まさに就職氷河期、真希さんはロスジェネ世代だ。男性であっても、正規職に就くのは難しい時代だった。そもそも正規雇用の男女比は、男性が女性の倍以上の数で推移している。女性は男性から扶養されることを前提に、低賃金の非正規労働でいいとされてきており、正規職に就くのは男性より難度が高い。

MakiEni / PIXTA(ピクスタ)

 

 たまたま誘われた合コンで、真希さんは憧れの人と付き合うこととなった。サッカーで全国大会出場を果たした選手で、短期間だが、Jリーグにも所属していた人物だ。高校時代からファンだったという。

 合コン後、すぐに交際がスタートした。3ヶ月後には妊娠、そしてでき婚というスピード婚だ。真希さんは22歳、夫は23歳。夫は当時、子どものサッカーチームでコーチをしていた。

「これじゃ、全然、稼げない。なのに、深く考えず、結婚しちゃった。憧れの人だから、舞い上がったんでしょうね。本当に、バカって感じ」

 真希さんはサラリと、当時の自分を突き放す。

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シングルマザー、その後

「母子家庭」という言葉に、どんなイメージを持つだろうか。シングルマザーが子育てを終えたあとのことにまで思いを致す読者は、必ずしも多くないのではないか。本連載では、シングルマザーを経験した女性たちがたどった様々な道程を、ノンフィクションライターの黒川祥子が紹介する。彼女たちの姿から見えてくる、この国の姿とは。

プロフィール

黒川祥子

東京女子大学史学科卒業。弁護士秘書、業界紙記者を経てフリーに。主に家族や子どもの問題を中心に、取材・執筆活動を行う。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待~その後の子どもたち』(集英社)で、第11回開高健ノンフィクション賞受賞。他の著作に『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』(集英社)、橘由歩の筆名で『身内の犯行』(新潮社)ほか。息子2人をもつシングルマザー。

 

 
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”セックスワーカー”という選択

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