特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第15回

羽生結弦のオータムクラシックに感じた「伸びしろ」とは

高山真
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〇左右それぞれの片足で、繊細でありながら非常に1歩1歩の距離が大きいターン。そこから飛ぶ4回転サルコー。そしてコンビネーションスピンへ。この一連の流れは、ジャンプが成功したときにすさまじい引力を放つことは証明済みですので、この先の試合を楽しみに待ちたいと思います。

 

〇ステップシークエンスは要素の実施順に、心を奪われた部分を……。

 

  • 冒頭、アームの動きにまた注目。

「ひじを軽く曲げ、握りこぶしを作った状態で、両腕を顔の前に。そこから肩を支点に両腕を回転させたあと、今度は手のひらを開いた状態で顔の前に」という一連の動きに目を見張りました。

 このムーヴ、前シーズンの世界選手権と比較しても、格段に動きにメリハリがついていると感じます。

 

  • イナバウアーから即座に、足を踏み替えてのツイズル。そこから小さな円を描くようにシャープなターン。この組み合わせ、いつもながら本当に素晴らしい。

 

  • リンクの中央で一度、あえて動きを止め、そこから厳密な体重移動だけで再びスピードに乗っていく部分。「スケーティングのスピードは、勢いで作るものではない」という明確な姿勢が感じられます。

 

  • 両手を上げたポジションでのツイズルのあと、アームの動きが、個人的には

「魔王が鏡で自分の姿を見る」

 ような瞬間に見えるときがありました。この一連のアームの流れの振り付け(演技)は、前シーズンにもあったものですが、それがより明確になったことで、私は「魔王」的なニュアンスを感じた、と言いますか……。

 

〇ステップシークエンス後のジャンプ構成は、前シーズンと大きく変更していています。

 

◇トリプルループ→トリプルルッツへ

◇4回転トウからトリプルアクセルのジャンプシークエンス→4回転トウからオイラー、トリプルサルコーへ

◇トリプルフリップからトリプルトウのコンビネーション→トリプルアクセルからダブルトウのコンビネーションへ。トリプルアクセルの前に非常に距離の長いイーグル

◇トリプルアクセルからオイラー、トリプルサルコー→トリプルアクセルからトリプルトウへ。アクセルの前にはカウンターを含めたトランジション

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特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく

『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。

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プロフィール

高山真

エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。

 
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