特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第15回

羽生結弦のオータムクラシックに感じた「伸びしろ」とは

高山真
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 過去に何度か書いていますが、平昌オリンピック以降の羽生結弦は、私にとって「現役選手としての活動を続けてくれていること。それ自体が『ありえない』レベルでありがたい」というスケーターです。

 そういう選手に望むのは、「これ以上のケガがなく、自分自身が納得できるコンディションで選手生活を続けてもらうこと」です。

 羽生結弦は、今までもこちらの予想や希望をはるかに超える演技や結果、感動をもたらしてくれました。それも、一度や二度のことではありません。

 その意味で、私は羽生結弦というスケーターを絶対的にリスペクトし、信頼しています。

「絶対に、超えてくれる」

 という確信を持たせてくれるアスリートは、全スポーツを見回しても、なかなか見つかるものではない。そんなアスリートが、好きなスポーツの中にいてくれるわけです。

 今後も間違いなく、「こちらが持っていた常識が、根底から心地よく粉砕される」ような、そんな機会を何度も味わわせてくれるだろう……。だからこそ、私が望むのは、ヘルシーであることだけなのです。

 

 フィギュアスケートというスポーツでは、その年のもっとも重要な試合にピークを合わせることが求められるのは間違いないでしょう。世界選手権に向けて、いかにここから「上げて」いけるか。そのために、いかに体調をキープしていけるか。どの選手も、そこにきっちり照準が合っていけばいいなあと、このスポーツのファンとして願っています。

 私が今回感じた、羽生結弦の「伸びしろ」、オリンピックを連覇したチャンピオンに、まだ「伸びしろ」があると思えることの嬉しさを、私はかみしめている最中です。

 集英社のスポルティーバのウェブサイトで、折山淑美氏によるオータムクラシックの記事が掲載されていましたが、その中で、羽生が

「ぜんぜん引退しないですからね、まだ」

 と明るい表情で表明したことがレポートされていました。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/figure/2019/09/16/post_21/

 2019-20年のシーズンでこの言葉が聞けるなんて! それが私にとっては、何よりうれしい「結果」なのです。

 

 

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特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく

『羽生結弦は助走をしない』に続き、羽生結弦とフィギュアスケートの世界を語り尽くす『羽生結弦は捧げていく』。本コラムでは『羽生結弦は捧げていく』でも書き切れなかったエッセイをお届けする。

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プロフィール

高山真

エッセイスト。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる。著書に『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』『愛は毒か 毒が愛か』など。

 
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