「何も入れないおかゆ」
この「特効薬事件」に代表されるように、2015年10月から始まったデリーでのサロヤ家での暮らしは日が経つにつれ、つらいものになっていった。まずは、肉体的なつらさだ。もともと私は、辛い食べ物が苦手だった。しかしサロヤ家の食事は朝、昼、晩、と限りなくスパイシーで、日本では食べたことがないくらい激辛な食事なのだ。
朝ごはんはインド式おかゆのスパイシーなキチュリーや、ダール(豆)とロティ。お昼は、仕事の合間にハヌマーン寺院の広場で歩き売りしているご飯とカレーのセットだったり、出店の軽食「カチョーリ」や「リッティーチョッカ」を買って食べた。これらの軽食は、本当に美味しい。私はリッティーチョッカが大好きで、屋台が出るたびに食べていた。リッティーチョッカはビハール州の軽食らしく、ビハール州出身のマンジュリは、私がリッティーチョッカを買うたびに、「ビハールの女だ!」と喜んでいた。
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(2016年10月16日撮影 ハヌマーン寺院の広場で出ているリッティーチョッカの屋台。中央に見える丸いものにソースをかけてくれる。)
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(2016年10月20日撮影 リッティーチョッカ)
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(2016年10月21日撮影 ハヌマーン寺院で出ていたサツマイモの屋台。サツマイモにスパイスとライムのようなものをかけて食べる。)
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(2016年10月21日撮影 ハヌマーン寺院で出ていたサツマイモ)
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(2016年10月21日撮影 広場に昼ご飯を売りにきた。だいたいこれで20ルピー<約40円>)
![バイブス人類学](https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/f97fc01b8aefa4dd97beaeac66e00966-1024x326.jpg)
文化人類学専攻の学生、ヘナ・アーティスト、芸術教育アドバイザーとして、様々な国で暮らしてきた「生命大好きニスト」長井優希乃。世界が目に見えない「不安」や「分断」で苦しむ今だからこそ、生活のなかに漂う「空気感」=「バイブス」を言語化し、人々が共生していくための方法を考えていきます。
プロフィール
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「生命大好きニスト」(ヘナ・アーティスト、芸術教育アドバイザー)。京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻修士課程修了。ネパールにて植物で肌を様々な模様に染める身体装飾「ヘナ・アート(メヘンディ)」と出会ったことをきっかけに、世界各地でヘナを描きながら放浪。大学院ではインドのヘナ・アーティストの家族と暮らしながら文化人類学的研究をおこなう。大学院修了後、JICAの青年海外協力隊制度を使い南部アフリカのマラウイ共和国に派遣。マラウイの小学校で芸術教育アドバイザーを務める。