また、近くのシィク教寺院、バングラ・サヒーブ・グルドワーラーでは、無料で炊き出しをしていて、誰でも食べることができるのだ。そこにも、マンジュリやミナクシと何回か行った。お参りをしたあと、列に並んで、食堂に入る。みな列になってあぐらをかいて座ると、皿を渡され、ロティがポンポンと乗せられ、大きなバケツに入れたダールやその日の料理がよそわれる。この料理や配膳は、全てボランティアで賄われている。私も、マンジュリと何度かロティをこねに行ったり、大鍋をかき回しに行ったりした。裏の調理場はいつもたくさんのボランティアの人々で賑わっていた。これが「徳を積む」ということの実践なのか、と考えたりしながら、私は目の前のびっくりするほど大きな大鍋に踊る心を抑えきれず、ただただはしゃいでいた。
文化人類学専攻の学生、ヘナ・アーティスト、芸術教育アドバイザーとして、様々な国で暮らしてきた「生命大好きニスト」長井優希乃。世界が目に見えない「不安」や「分断」で苦しむ今だからこそ、生活のなかに漂う「空気感」=「バイブス」を言語化し、人々が共生していくための方法を考えていきます。
プロフィール
長井優希乃
「生命大好きニスト」(ヘナ・アーティスト、芸術教育アドバイザー)。京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻修士課程修了。ネパールにて植物で肌を様々な模様に染める身体装飾「ヘナ・アート(メヘンディ)」と出会ったことをきっかけに、世界各地でヘナを描きながら放浪。大学院ではインドのヘナ・アーティストの家族と暮らしながら文化人類学的研究をおこなう。大学院修了後、JICAの青年海外協力隊制度を使い南部アフリカのマラウイ共和国に派遣。マラウイの小学校で芸術教育アドバイザーを務める。